<ニュース概要>
今週は中国勢の発表が集中しました。並べてみると方向は一つで、フロンティア級の性能を「無料、または桁違いに安く」出してくる、というものです。API課金の重さが利活用のブレーキになりつつあるいま、いちばん実利のある動きとして、MITライセンスで無償公開されたDeepSeek V4 Flashからご紹介します。
1.【注目】DeepSeek V4 Flash 正式版、MITライセンスで無償公開
DeepSeekが7月31日、「DeepSeek V4 Flash」の正式版をHugging Faceで無償公開しました。総パラメータ2,840億、推論時に動くのは130億というMoE型で、コンテキスト長は100万トークン。エージェント系ベンチマーク9項目すべてで上位版を上回り、5分の1以下のサイズで上位モデルを圧倒した格好です。注目したいのはライセンスで、MITライセンスのため商用利用・改変・再配布のいずれも可能。さらに量子化版なら82GB台から動くため、クラウドに出さず自社の環境で動かす、という選択肢が現実味を帯びます。「機密資料は社外に出せないからAIに読ませられない」で止まっていた領域が、コストではなく設計の問題に変わってくる——管理部門にとっては、そこがこのニュースの本丸です。
出典:PC Watch・2026/7/31
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/2129807.html
2. Alibaba「Qwen3.8-Max」——2.4兆パラメータのマルチモーダル最上位モデル
Alibabaが8月3日、Qwenシリーズの最上位「Qwen3.8-Max」を提供開始しました。総パラメータ2.4兆、1トークンあたり約950億が動くMoE型で、テキスト・画像・動画を直接扱えるマルチモーダル対応。200ページ超のPDFや100時間を超える動画も処理でき、コンテキストは最大100万トークンです。GPT-5.6 Sol Max、Claude Fable 5、Gemini 3.1 ProといったフロンティアモデルとOSWorld-Verified・SWE-bench Pro等で比較されています。API価格は入力100万トークンあたり2ドル・出力6ドル・キャッシュ0.25ドルと、この階級としてはかなり安価。なおオープンウェイトでの公開を予定と表明していますが、8月時点でライセンスは未開示です。
出典:Qwen公式ブログ
https://qwen.ai/blog?id=qwen3.8
3. MiniMax、動画生成モデル「MiniMax-H3」をHugging Faceで公開
MiniMaxが8月3日、動画生成モデル「MiniMax-H3」を公開しました。テキスト・画像・動画・音声を包括的に理解し、最高2K解像度・24FPSで、ステレオ音声つきの動画を4〜15秒生成できます。コミュニティライセンスで商用利用も可能(表記が必要)ですが、条件に注意が必要です。年商2,000万ドルを超える企業、およびEU・英国・韓国・米国での利用には、事前の書面許諾が求められます。オープンモデルだから自由に使える、とは限らない——導入前にライセンス条項を読む習慣が、実務では効いてきます。
出典:PC Watch・2026/8/3
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/2129989.html
4. ByteDance、最大10兆パラメータの巨大モデルを事前学習中と報道
ByteDanceが最大10兆パラメータ規模のモデルを事前学習中だと、Financial Timesが報じました。Anthropicの最先端システムMythos(推定約8兆)に匹敵する規模で、Moonshot AIのKimi K3(2.8兆)の3倍以上。公開は数ヶ月後の見込みとされています。中国勢が”10兆クラブ”に足を踏み入れる動きですが、ByteDanceの公式発表ではなく報道ベースの情報である点は押さえておきたいところです。上の3件が「今すぐ使える」話なのに対し、これは半年先の勢力図の話として見ておくと整理しやすくなります。
出典:Reuters(WHBL配信)・2026/8/6
ByteDance targets mega AI model that could match Mythos scale, FT reports
