Copilot Coworkは、最近かなり賢くなりました。「Boxのファイルを読みたい」と頼むと、プラグインがだめなら別の方法で、と自分でつなぎ方を探して提案してくれます。便利な反面、会社として止めているはずの接続が、別の入口から通ってしまうことがあります。今回は、クライアント先の支援の中で出てきた実例をもとに、MS特有の注意点を整理します。

 

 

■ 実例であったこと

あるクライアント先で、CoworkからBoxのファイルを読めるようにしようとしたケースです。BoxのプラグインはIT部門のポリシーで止められていました。ところが、Coworkが提案してきた別の方法(Power PlatformのBoxコネクタ)で試したところ、つながってしまいました。

途中でMicrosoftのサインイン画面が出たため、「会社が許可していなければ、ここで止められるはず」と考えて、そのまま進めてしまったそうです。あとからIT部門より「外部への接続は事前に相談してほしい」という話があり、入口が複数あることが分かりました。

 

 

■ MSの場合、AIから外部アプリへの入口は3つある

MS Copilot Coworkから外部アプリにつなぐ入口は、次の3つです。

①Coworkのプラグイン
App Storeに並ぶ、審査済みのMCPサーバ(AIが外部ツールを使うための共通規格に沿った接続先)です。止める場所はMicrosoft 365の管理センターです。

②Power Platformの3rd Partyコネクタ
Power Automate(業務の自動化ツール)用に昔からある接続部品です。これがCoworkからも呼べるようになってきました。止める場所はPower Platformの管理センターで、①とは別の画面です。

③外部MCPサーバの直接登録
URLを入れて、審査を通っていない誰かのMCPサーバにつなぐ方法です。情報漏えいや、プロンプトインジェクション(外部のデータに仕込まれた指示でAIが操られる攻撃)の危険が一番高い入口です。

ちなみにClaudeの場合、入口は①(コネクタ一覧から選ぶ)と③(URLを入れるカスタムコネクタ)の2つだけです。②はMS特有の入口なんですね。Claudeを使い慣れている人ほど「プラグイン(コネクタ)を止めれば大丈夫」と考えがちですが、MSではここが落とし穴になります。

 

 

■ 気をつけたいこと

1.プラグインを止めても、コネクタからつながることがある
①を止めていても、②が開いていれば同じアプリにつながります。Microsoftの更新は速く、IT部門の設定が追いつかないこともあります。「画面で選べた=使ってよい」ではありません。

2.サインイン画面は「会社の許可」の確認ではない
接続のときに出るサインイン画面は、「このアカウントでつないでよいか」を本人に確認するものです。会社のルールで許可されているかを確かめる関所ではありません。

3.連携先のアプリ側でも費用がかかることがある
外部アプリによっては、AIから呼び出すたびにアプリ側で費用が発生します。Copilotのクレジットとは別の費用です。

 

 

■ どう運用するか

入口が複数あり、システムの設定ですべてを止め切るのは難しいのが実情です。そのため、次のように運用で補うのが現実的だと考えています。

・外部アプリにつなぐ前に、IT部門に相談する
・「これは接続してよい」という一覧をあらかじめ決めておく
・特に③のURL直接登録は、原則使わない

Coworkが賢くなるほど、やりたいことに向けていろいろな手段を探してくれます。だからこそ、AIが提案してきた方法をそのまま使う前に、一度立ち止まって確認することが大切です。

加藤 勲(ISAO株式会社/公認会計士|E資格)

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