■ 結論:AIが「どこにもありませんでした」と言っても、それは「無い」ではなく「その探し方では見えなかった」だけ、ということが起こります。とくにExcel・Word・PowerPoint・PDFは、文字で検索しても中身が引っかかりません。「無い」と言われたら、まずどうやって探したかを聞いてください。その一言で取り戻せます。
■ 実際にあった話
ある人物が手元の名簿(Excel)に載っているかどうかを、Claudeに調べさせました。返ってきたのは「フォルダ全体を検索しましたが、該当はありません」。私はそれを信じて、外部への連絡にそのまま使いました。
実際は、その名簿の22行目に載っていました。
■ なぜ起きるのか
Claudeが使ったのは文字の検索です。ところが ExcelやWord、PowerPointは、中身が圧縮された状態で保存されています。開けば普通に読めるのに、検索だけがすり抜ける。だから「0件」が返り、それを「存在しない」と読み違えたわけです。
怖いのは、間違いが正しい答えの顔で返ってくるところです。エラーなら気づけます。でも返ってきたのは「検索しましたが見つかりませんでした」という、いかにも仕事をした報告でした。疑う手がかりがどこにもない。
■ では、ほかにどんな探し方があるのか
「文字で検索する」以外に、少なくとも5つあります。どれを使ったのかを聞けば、抜けている手が分かります。
・開いて読ませる——いちばん確実です。Excelなら「全シート・全行を見てください」、Wordなら本文全部、PowerPointなら全スライド。ファイル数が少ないなら、最初からこれで済みます
・クラウド側の検索を使う——Google DriveやSharePointの検索窓は、ファイルの中身を展開して索引を作っています。手元の文字検索では0件でも、こちらだと当たることがあります
・PDFは「文字」か「画像」かを分ける——スキャンしたPDFは、見た目は文字でも中身は画像なので、どうやっても検索には当たりません。画像として読ませる必要があります
・フォルダの一覧から目で拾う——「このフォルダの中身を全部並べて」と頼み、それらしい名前のファイルを指定して開かせる。原始的ですが、これがいちばん外しません
・表記ゆれで当たり直す——ローマ字と漢字、旧社名、スペースの有無、全角と半角。人名や社名は特にここで落ちます
■ 頼む側でできる3つのこと
①「無い」と言われたら、探し方を聞く。「どうやって探しましたか」だけで足ります。
②フォルダの一覧に見えているファイルは、開かせる。私のケースもこれでした。名簿の名前は最初から画面に出ていたのに、「一覧は別の形式のファイルに入っているはずだ」と決めつけてExcelを開かなかった。見えていたのに開かないは、探せなかったより重い抜けです。
③一度言ったら、指示書に書く。毎回聞くのは面倒なので、プロジェクトの指示書に1行入れておきます。私は「無い・分からないと言う前に、使った手段がその対象を読めるのか疑う」と書きました。指示書は毎回読み込まれるので、しくじり1回ぶんを覚えさせれば、同じ穴には二度落ちません。
■ まとめ
・AIの「見つかりませんでした」は、「無い」ではなく「その探し方では見えなかった」可能性がある
・Excel・Word・PowerPoint・PDFは中身が圧縮されているため、文字の検索では引っかからない
・探し方は5つある——開いて読ませる/クラウド側の検索/PDFは文字か画像かを分ける/一覧から目で拾う/表記ゆれで当たり直す
・「無い」と言われたら「どうやって探しましたか」と聞く。それだけで取り戻せる
・一覧に見えているファイルを開かせる。見えていたのに開かないが、いちばん多い抜け
・気づいた穴は、その場の注意ではなく指示書に1行書く。二度目が来なくなる
「無い」ではなく、「その探し方では見えなかった」。
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