結論:自分の構想や計画をAIにレビューさせるとき、多くの人は「人間が分かる範囲の指摘」で止めてしまいます。そこでプロンプトを2段構えにします。(1)まず人間が理解できる範囲で抜け漏れ・誤りを指摘させ、(2)次に「人間の理解を超えてもいいから批評して」と明示的に頼む。この2段目こそAIならではの価値で、自分では出てこない角度が返ってきます。

 

企画書、事業計画、提案の骨子——自分が作ったものをAIにレビューさせる人は増えました。ただ、その多くは「抜けている観点はある?」「おかしいところある?」と聞いて終わりです。もちろんそれも役に立つのですが、それはAIを「よくできた人間のレビュアー」として使っているだけ。AIの本当のうまみは、その先にあります。今回は、レビューを頼むときのプロンプトを2段構えにする、というコツです。

 

■ 1段目だけで止まると惜しい理由

「抜け漏れは?」「間違いは?」という問いは、いわば人間の目線での確認です。AIは素直に、抜けている論点や事実誤認、論理の飛躍を挙げてくれます。これはこれで有用です。ただ、この問い方だと、返ってくるのは「言われてみればそうだ」と自分でも分かる範囲の指摘に寄ります。自分の頭の延長線上にある答えなので、ハッとする角度は出てきにくいのです。

多くの人はここで満足して止めてしまいます。でも、ここまではまだ準備運動。本番は2段目です。

 

■ 2段目:「人間の理解を超えてもいい」と明示的に許可する

そこで、1段目の指摘をもらったあと、こう続けて頼みます。「今度は、人間の理解を超えてもいいから批評して」。

不思議なもので、この一言を明示的に足すと、AIは前提そのものを疑いにいく批評を返してきます。ふだんAIは「相手(人間)に分かるように」という枠の中で答えを整えています。その枠を外していいと許可してあげると、私たちが当たり前だと思って気づいていない“暗黙の前提”に踏み込んでくれるのです。

たとえば「思考の順序」や「たとえに使っている言葉」そのものを疑う視点です。私たちは無意識に「事例をたくさん集めてから、そこから一般的な型を導く」という順序で考えがちです。ところがAIは「先に型(枠組み)を作ってしまって、事例はそれを検証するために使う、という逆順のほうが速くないか」と返してくることがあります。あるいは、計画の中で何気なく使っている“組織のたとえ”——たとえば「チームで役割分担して」といった発想そのものが、人間の組織の常識に引きずられているだけではないか、と問い直してくる。こういう、自分の思考の土台をひっくり返す角度は、1段目の「抜け漏れ確認」からは絶対に出てきません。

 

■ プロンプト例(そのまま真似できます)

企画レビューなら、次のように2段階で投げるだけです。

添付(または上記)は私が作った企画です。
【1段目】まず、人間が理解できる範囲で、抜け漏れ・事実誤認・論理の飛躍を指摘してください。
【2段目】次に、人間の理解を超えてもいいので、この企画の“暗黙の前提そのもの”を批評してください。私が当たり前だと思って疑っていない思考の順序や、使っているたとえ・枠組みまで含めて、根本から問い直してください。実現可能性はいったん脇に置いて、角度の鋭さを優先してください。

ポイントは、1段目と2段目を分けて書くことと、2段目で「人間の理解を超えていい」「前提そのものを疑っていい」と明示的に許可してあげることです。この許可がないと、AIはつい“分かりやすい範囲”に戻ってきてしまいます。

 

■ 2段目は「採用する」より「揺さぶられる」ために使う

ひとつ注意です。2段目で返ってくる批評は、そのまま採用できる完成品ではありません。極端だったり、実務を無視していたりもします。それでいいのです。2段目の目的は「正解をもらう」ことではなく、「自分の前提を揺さぶってもらう」こと。鋭い角度を1つ受け取って、自分の企画を見る目線を一段上げられれば、それで十分に元が取れます。採否は最後に自分で決めればいい話です。

 

■ まとめ

・構想や計画のレビューは、多くの人が「人間が分かる範囲の指摘」で止めてしまう
・プロンプトを2段構えにする:(1)人間目線で抜け漏れ・誤りを指摘 →(2)「人間の理解を超えてもいいから批評して」と明示的に頼む
・2段目では、思考の順序や“たとえ・枠組み”といった暗黙の前提そのものを疑う角度が返ってくる
・「人間の理解を超えていい」という許可を明示しないと、AIは分かりやすい範囲に戻ってしまう
・2段目は採用するためでなく、自分の前提を揺さぶられるために使う。採否は最後に自分で決める

 

「1段目で確認、2段目で揺さぶる」。レビューを頼むなら、”人間の理解を超えていい”の一言を足すだけで、自分では出てこない角度が手に入ります。