<直近2週間の動き>
【あずさ監査法人】
10月8日、監査品質に関する報告書「AZSA Quality 2026/27」を発行しました。特集の対談で、KPMGインターナショナルのCTO ティム・デンリ氏が「AIの出力をそのまま受け入れるのではなく、監査人として評価し、判断する力が求められます。」「(監査法人としても、)AIの信頼性検証も含めて新たな業務が生まれ」と述べ、あずさの田中弘隆専務理事は「定型的な確認作業の初期対応は、今後AIが担う領域になっていくと考えています。」と述べています。AIの信頼性検証を監査法人の新しい業務と位置づける発言が、公式の品質報告書に載りました。ただしこれはKPMG側のCTOの発言で、あずさ自身の方針表明ではなく、何をどう検証するかの手法も示されていません。
【PwC Japan】
10月8日、J-SOX(内部統制報告制度)業務をワンストップで受託するマネージドサービスを開始しました。主たる提供主体はPwCビジネストランスフォーメーション合同会社で、PwC Japan有限責任監査法人のメンバーが必要に応じて参画する建て付けです。「PwC Japanの内部統制プロフェッショナルとAIを組み合わせた二層の検証」と書き、大手で唯一、検証の構造に触れました。AIの出力をどう検証するかの具体的な方法は書かれていません。
【EY】
10月7日、EYストラテジー・アンド・コンサルティング(コンサル側)が「EY.ai Value Blueprints」を開始しました。「方法論および豊富な支援ツール群」と書きますが、中身は業務再設計の方法論で、AIの出力を検証する方法論ではありません。10月14日にはEY Japanがインフラ業界向けエージェント型AIレポートの日本語版を公開し、「人間による監督と能力」を含む5領域のガバナンス枠組みを示しました(原文は5月のグローバル発表)。監査側のEY新日本からは、この2週間AI関連の新規発信はありません。
【日本IBM】
10月7日にNTTドコモビジネスとAIガバナンス領域での協業に基本合意し、「利用状況を後から確認・監査できること」を掲げました。10月15日には伊藤忠テクノソリューションズとAI駆動開発サービス「A-Native」(500万円〜・税別)を開始し、「監査ログ管理や作業承認などのガバナンス」に対応すると書いています。いずれも会計への言及はなく、扱っているのは利用状況のログであって出力の正しさではありません。
【SCSK】
10月14日、AnthropicのClaude Codeを使う「CELF AI開発エージェント(仮称)」のβ参加企業を30社先着・無償で募集しました(β開始10月23日、応募は11月20日まで。Claude Codeの利用料は別途)。Excel型の業務アプリを対話で作るもので、「開発担当者は結果を確認しながら対話で修正を重ねられます」としています。
【その他】
デロイト トーマツはこの2週間、AI関連の特段の更新はありませんでした。KPMGコンサルティングの新規発信(10月6日・7日)はAIとは無関係です。NTTデータ経営研究所が10月6日に「AIガバナンス未来デザイン研究会」を設置しました。富士通・野村総合研究所の発表は会計・監査領域外でした。
<あなたが明日からできること>
【バックオフィスはこう変わる】
あずさの対談が示したのは、企業が入れたAIの出力そのものが、いずれ監査で見られる対象に入るということです。これまで監査人が見ていたのは数字と証憑でした。これからは、その数字を作ったAIがどう動き、誰が何を見て承認したかが問われます。
【バックオフィスが押さえるべきポイント】
この2週間、「監査ログ」「作業承認」「人間による監督」という言葉が、大手の発信に繰り返し出てきました。言葉としてはもう誰でも使っています。提案を受けたら「その方法論は、AIの出力の正しさをどう測るものですか」と1つ聞いてください。答えられない提案は、器(仕組み)の提案です。なお、監査法人そのものからの発信は2週目に入ってから止まっています。
【今日からの5分トライ】
社内でAI活用やJ-SOXの外部委託を検討しているなら、契約の相手がどの法人で、監査法人の人がどこまで関わるのかを1行で書き出してください。PwCのように、監査法人でもコンサル法人でもない別法人が受託する形も出てきています。
【中長期でこうついていく道筋】
大手は「二層の検証」「AIの信頼性検証」と構造の言葉までは書きましたが、中身はまだ出していません。中身が出るまでには時間があります。その間に、自社のAI利用について「AIに計算させず読み取りに徹させる」「AIがやったことの記録を残す」「判断の責任者を明示する」の3つを決めておくこと。大手の手法が出てきたときに、それと突き合わせられる自前の土台になります。
<出典>
出典:[あずさ監査法人(2026/10/8)]
https://kpmg.com/jp/ja/media/press-releases/2026/10/azq.html
出典:[AZSA Quality 2026/27 対談ページ]
https://kpmg.com/jp/ja/about/azsa/stakeholders/azsa-quality/pickup-01-ai.html
出典:[PwC Japan(2026/10/8)]
https://www.pwc.com/jp/ja/press-room/2026/j-sox.html
出典:[EYストラテジー・アンド・コンサルティング(2026/10/7)]
https://www.ey.com/ja_jp/newsroom/2026/10/ey-japan-news-release-2026-10-07
出典:[EY Japan(2026/10/14)]
https://www.ey.com/ja_jp/newsroom/2026/10/ey-japan-news-release-2026-10-14
出典:[NTTドコモビジネス・日本IBM(2026/10/7)]
https://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2026/1007_2.html
出典:[日本IBM・伊藤忠テクノソリューションズ(2026/10/15)]
https://jp.newsroom.ibm.com/2026-10-15-CTC-and-IBM-Japan-Collaborate-On-A-Native-by-IBM-Bob
出典:[SCSK(2026/10/14)]
https://www.scsk.jp/news/2026/pdf/20261014.pdf
出典:[NTTデータ経営研究所(2026/10/6)]
https://www.nttdata.com/global/ja/news/group/2026/100600
出典:[デロイト トーマツ プレスリリース一覧]
https://digitalpr.jp/c/2100
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