AIの活用により常時監査が可能になれば、よりこういった不正も防げるのではと思います。
<ニュース概要>
上場企業の会計不正が相次いでいる。日本公認会計士協会によれば直近5年で公表された会計不正184件のうち約7割で役員・管理職が主体的に関与した。象徴的なのが2026年1月に発覚したソフトバンク子会社・イーエムネットジャパンの事件だ。元CFOはFX(外国為替証拠金)取引で多額の損失を抱え、借入金の返済や担保維持の資金繰りに追われて自ら管理する会社資金に手をつけた。会社口座からの引き出しは70回、個人口座への送金は16回、被害額は4.6億円に膨らんだ。元CFOは監査法人トーマツ出身の会計士で監査手続きを熟知しており、内部監査や外部監査人の目を欺くため仕訳帳や残高証明書を改ざん。手元資金を使い、監査の時だけ金庫内の現金を帳簿と一致させる偽装工作にも及んだ。発覚後、株価はほぼ半値に。オルツは広告費名目の支出を還流させ売上高の8〜9割を架空計上して上場廃止となった。それでも日本の罰金上限は米国の約80分の1にとどまる。
<あなたが明日からできること>
【バックオフィスはこう変わる】
これまで内部監査・経理は「作られた帳簿を確認する」仕事だったが、不正の約7割が役員・管理職主導という現実の前では、上位者の指示に対しても独立して異常を検知することが中心業務になる。ルーチンの証憑チェックはAI・自動突合に任せ、人は”違和感の追跡”に時間を使う仕事へと変わっていく。
【バックオフィスが押さえるべきポイント】
「監査の時だけ金庫を合わせる」偽装が成立したのは、実査や残高確認が”予告された定点作業”だったからだ。抜き打ち・全件・外部データ直結の常時モニタリングへ設計を組み替えれば、隠す隙そのものが減る。AIの活用で「決算期末や監査時点だけ」ではなく期中を通じた常時監査(コンティニュアス・オーディット)が現実味を帯びるほど、”監査のときだけ整える”手口は通用しなくなり、監査はむしろ厳しくなっていく。統制は”増やす”より”抜け道を塞ぐ再設計”が効く。
【今日からの5分トライ】
内部監査・監査役に「うちで”監査の時だけ体裁を整える”ことが物理的に可能な箇所はどこか」を1問だけ投げてみる。守る側の視点を早めに合流させる。
【中長期でこうついていく道筋】
自動モニタリングの対象は”改ざんされやすい勘定”の順に広げていくとよい。銀行残高の自動突合から始め、売上(架空計上対策=入金・出荷実績との照合)、経費(広告費など資金還流の温床)へと拡大する。同時に、不正は倫理の欠如ではなく「常識的な思考ができず泥沼にはまった」末に起きる(元CFO本人の弁)ことを踏まえ、相談できる複数の目・逃げ道のある文化を育て、担当者が一人で抱え込まない体制を中長期でつくる。仕組みと文化の両輪で備えたい。
<出典>
出典:日本経済新聞 電子版・2026年7月16日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB061H60W6A700C2000000/
