※本記事はAnthropic公式サポート記事「What is Claude Tag?」の日本語訳・整理版です。

 

■ はじめに ― これをどう捉えるか(おすすめ度と注視ポイント)

新しい技術なのでご紹介しますが、結論から言うと、使えば使うほど組織側に使用量(API)課金がかかる仕組みです。したがって、今の時点では「本当に業務で使いたい」という方以外には特段おすすめしません。まずは「こういう技術がある」ということを知っておいていただくのが目的です。

 

一方で、今後プランの上限内(追加課金なし)で使えるようになる可能性もあります。そうなれば一気に使い勝手が変わるので、そこは要注視でお願いします。

大きな流れとして押さえておきたいのは、これは Claude 特有の話ではないという点です。ChatGPT にも同種の機能があり、各社とも同じ方向を向いています。人はそれぞれ「一番長く開いている UI」を持っています。ある人は Slack、ある人は Outlook、というように普段の作業画面はバラバラです。その普段使いの UI の中に AI を組み込むことで、AI 本体(Claude や ChatGPT のアプリ)を使っていない人にも自然に届けて裾野を広げる ── というのが各社の狙いです。Claude Tag も「Slack というガワの中に Claude を入れる」ことで、Claude を単体で使っていない層に広げるための施策、という位置づけで見ると分かりやすいです。

 

■ 一言でいうと

Claude Tag は、Slack 上で @Claude とタグ付けするだけで、Claude が「自分の担当者」として実際の業務をこなしてくれる新しい仕組みです。これまでの「Claude in Slack」の次世代版という位置づけで、2026年8月3日に既存の Claude in Slack から自動的に切り替わります。今後 Claude と Slack を連携させる場合は、この Claude Tag を使うことになります。現在は Team プランと Enterprise プランでベータ提供中です。

従来との一番の違いは「記憶」と「自律性」です。Claude Tag は数日をまたいでチャンネルの文脈を覚えており、自分でフォローアップの予定を組んだり、仕事が終わったら報告を投げたり、スレッドが止まっていたら担当者にタグを付けて催促したりします。しかも Claude 自身の identity(アイデンティティ)を持って動く、という点が実務上とても重要です。

 

■ 3つの使い方(サーフェス)

Slack を離れずに Claude を使える窓口が3つあります。

ひとつ目はチャンネルでのタグ付けです。どのチャンネルでも @Claude とタグ付けして仕事を渡すと、そのスレッドの中で作業の様子が全員に見える形で進みます。チャンネル内の全員が同じ Claude とやり取りするため、誰でも途中で指示を足したり、他人が始めた作業を引き継いだりできます。

ふたつ目はダイレクトメッセージです。@Claude と個別に非公開でやり取りできます。

みっつ目は AIアシスタントパネルです。Slack の AI アシスタントヘッダーにある Claude アイコンを押すと右側にパネルが開き、Slack のどの画面からでも Claude を呼び出せます。

 

■ 管理部が特に意識すべき「課金と identity の違い」

ここが経理・管理部にとって一番大事なところです。どの窓口で使うかによって、権限も課金先も変わります。

チャンネルでタグ付けした場合、Claude は組織(会社)の identity で動き、管理者がそのチャンネルに設定したツールとアクセス権を使い、費用は個人ではなく組織に請求されます。

一方、ダイレクトメッセージとアシスタントパネルでは、Claude はあなた自身の Claude アカウントで有効にした機能(Web検索や連携ツールなど)を使い、費用も本人の Claude アカウントに請求されます。

つまり「会社の財布で動くモード」と「個人の財布で動くモード」が同じ Slack 上に同居している、と理解しておくと管理しやすいです。

 

■ セットアップは誰がやるか

Claude アプリを Slack に入れたあと、Claude Tag のセットアップ(Claude の identity 発行、会社のツール・リポジトリの接続、稼働させるチャンネルの選択)を行えるのは Primary Owner または Owner だけです。Admin ロールでは設定できません。一度チャンネルが準備できれば、チームの各メンバーは個別設定は不要です。

 

■ 誰が使えるかを制御する

組織設定 > Claude in Slack の「Member Access」で、利用範囲を3段階から選べます。Slack ワークスペースの全員に開放するか、Claude 組織のメンバーに開放するか、あるいはロールで許可されたメンバーだけに絞るか、です。3つ目のロールベース制御は Enterprise プラン限定で、「Claude in Slack」権限をカスタムロールに付与して使います。この設定はチャンネルのタグ付けと DM の両方に効きます。

 

■ 支出(コスト)管理 ― 管理部の主戦場

Claude Tag は人数ではなく使った分だけの従量課金です。Primary Owner / Owner が管理コンソールからコントロールします。

組織全体の上限は、全チャンネル合計の絶対的なハードキャップで、これを超えることはできません。チャンネル別上限は、組織全体の上限に加えて個別チャンネルごとにも設定でき、新規チャンネルにはデフォルト上限が自動で入ります。上限の 75%と95% に達すると管理者にアラートが届き、チャンネル別の支出内訳も同じ画面で確認できます。

重要なのは、上限を超える作業は「拒否」されるのであって、途中で黙って打ち切られるわけではないという点です。ブロックされたユーザーは Slack を離れずに管理者へ増額を申請でき、アラートには「上限が原因か、残高が原因か」も表示されます。

補足(課金の実態):チャンネルでのタグ付けは従量課金で、トークン量に応じて API レートで組織に課金されます。管理コンソールの「上限」は無料枠ではなく支出のハードキャップであり、上限内でも使った分は課金されます。現在はローンチクレジット(2026年9月1日で失効)が付いており、初期の使用分をそのクレジットで相殺できます。「無料枠付き」ではなく「クレジットで当面オフセットできる従量課金」と理解するのが正確です。

 

■ アクセス権限の3階層

Claude Tag が触れる範囲は、資格情報(credentials)とリポジトリアクセスを3つの階層で設定します。各階層は上位階層の権限と記憶を引き継ぎます。

組織全体は、Claude Tag を入れた全ての場所に適用される権限。ワークスペースは、あるワークスペース内の全公開チャンネルに適用され、組織全体の権限・記憶を継承します。プライベートチャンネルは、ワークスペースの権限に上乗せで追加の資格情報やリポジトリを付けられます。たとえば法務用チャンネルはエンジニアリング用チャンネルとツール・記憶を分離できるので、機微な接続を小さなグループに閉じ込められます。

 

■ 記憶と監査(ガバナンス)

Claude Tag はチャンネル単位・ワークスペース単位で文脈を保持し、管理者はその記憶を閲覧・編集・削除できます。組織設定 > Claude Tag > Audit の Audit ビューには、組織内の全ての予約タスク・単発タスクと、Agent Identity を使って行われた全ネットワーク通信が一覧されます。各操作は実行された場所でも追跡でき、投稿は Slack の Claude アプリから、コミットやプルリクエストは Claude GitHub App が作者として記録され、発端の Slack スレッドへのリンクも残ります。任意のチャンネルで「@Claude what triggers do you have set up here?」と聞けば、設定済みの継続作業を確認・停止できます。

 

■ プライバシーとデータ

Slack での Claude との会話は、通常の Claude 履歴とは分離されて保存されます。Slack で始めた会話は claude.ai のチャット履歴には表示されず、Claude Web アプリで始めた会話も Slack からは見えません。連携を解除またはアプリをアンインストールすると、会話は30日以内に Claude 側から自動削除されます。Slack 側の会話は、貴社の Slack 保持ポリシーに従います。なお Claude Tag は業務のために文脈を記憶する性質上、チャンネル・ワークスペースの記憶はタスクごとに破棄されず保持されます(管理者が確認・削除可能)。

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出典:
・What is Claude Tag?(Anthropic公式サポート) https://support.claude.com/en/articles/15594475-what-is-claude-tag
・Claude Tag overview(Claude公式ドキュメント) https://claude.com/docs/claude-tag/overview