<ニュース概要>
今週のGoogleは、資料整理AIの大幅強化、AI部門トップの入れ替え、そして地図アプリのエージェント化と、「足元の道具」から「経営体制」まで一気に動いた一週間でした。とくに注目は、Gemini Notebook(旧NotebookLM)のPro機能が全ユーザーに開放され、資料を「読ませる」だけの道具から、表やグラフまで「作らせる」道具に変わったことです。実務でいちばん効く変化なので、ここは丁寧にご紹介します。

 

1.【注目】Gemini NotebookのPro機能が全ユーザーへ開放、ソースの自動追加にも対応

Googleは8月5日、Gemini Notebook(旧NotebookLM)のPro向け機能を全ユーザーへ展開完了しました。あわせて8月6日から、Workspace Studioの定期ワークフローの中でノートブックにソースを自動追加する連携も始まっています。何がどう変わったのか、これまでとの対比で見ていきます。

 

【これまで】読ませて、答えをもらうまでが限界だった

Gemini Notebookはこれまで、「手元の資料を放り込んでおくと、その中身だけを根拠に答えてくれる」道具でした。社内規程や過去の議事録、契約書をまとめて入れておけば、「この条件はどの規程に書いてある?」と聞ける。ここまでは十分に便利です。

ただ、出てくるのは文章の回答と要約、そして音声概要まで。たとえば「過去3年分の月次資料から売上成長率を出して」と頼んでも、返ってくるのは数字の並んだ文章です。グラフにしたければ、その数字をコピーしてExcelに打ち直し、自分でグラフを作る。結局、最後のひと仕事は人に戻ってきていました。

もう一つの手間がソースの追加です。資料は毎回、手で1つずつ入れる必要がありました。月次で資料が差し替わるたびに入れ直しになるので、「作ったノートブックが、いつの間にか古い資料のままになっている」ということが起きやすかったわけです。

 

【今回】そのまま成果物になり、資料は勝手に最新になる

変わった点は大きく3つあります。

 

(1)出力形式が「文章」から「成果物」に広がった

チャート・グラフ、PDF、スプレッドシート、画像を、Gemini Notebookが直接生成できるようになりました。Googleが挙げている例は、売上成長率を計算してそのままグラフにする、競合調査の結果をもとにメッセージ案を作る、不動産の分析表を組む、といったもの。個人向けの例では、領収書を入れておくと住宅改修費用の管理表ができる、というものまであります。要するに、これまで「答えをもらってから自分でExcelに移していた工程」が、そのまま成果物として出てくるようになりました。

 

(2)対話そのものが強くなった

登録した情報源をもとに、従来より複雑な質問や指示に対応できるようになっています。1問1答で終わらず、資料の確認から成果物の作成までを一連の流れで進められるよう、操作全体も見直されました。「聞く」と「作る」が分断されていたのが、つながった格好です。

 

(3)ソースが自動で追加され、ノートブックが最新を保つ

Workspace Studioのワークフローに「Add a source to Gemini Notebook」というステップが追加されました。追加できるのはテキスト、Google Driveファイルへのリンク、YouTubeや一般のWeb URLの3種類。定期実行のワークフローに組み込んでおけば、ノートブックは手を触れなくても最新の状態を保ちます。「規程集ノートブック」「月次報告ノートブック」を一度作れば、あとは更新が自動で流れ込む、という運用ができるようになったわけです。

 

【使い始めるときに押さえておくこと】

Pro向け機能はGoogle AI Pro(月額2,900円)に含まれ、8月5日時点で全ユーザーへの展開が完了しています。一方、Workspace Studioからの自動追加は8月6日から段階的な展開で、Rapid Release・Scheduled Releaseとも最大15営業日かかります。対象はビジネス版のStarter/Standard/Plus、エンタープライズ版のStandard/Plus、教育版各エディションなど。管理者側でGemini for Google Workspaceのステップへのアクセスを許可しておく必要があり、既定では有効ですが、社内で使う前に管理コンソールの設定は一度確認しておくのが確実です。

 

出典:Impress Watch・2026/8/5
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2130676.html

出典:Google Workspace Updates・2026/8/6
https://workspaceupdates.googleblog.com/2026/08/automatically-add-sources-to-your-Gemini-Notebooks-in-Workspace-Studio.html

 

2. Google、AI部門のリーダーシップを刷新——ハサビス氏がDeepMind CEO退任、ジェフ・ディーン氏は退社

8月5日、GoogleがAI部門の指揮体制を大きく見直しました。デミス・ハサビス氏はDeepMind CEOを退き、日常の運営から離れてAGI研究に専念します。後任には商業化に強いコレイ・カヴクチュオール氏が就き、ピチャイCEOへ直接レポートする体制に。あわせて、27年間Alphabetに在籍したチーフサイエンティストのジェフ・ディーン氏が退社し、ゲマワット氏・ビニャルス氏・クオック・レ氏と新会社「Discovery Loop」を設立しました。背景にあるのはAI競争の激化で、6月公開だった最新Geminiのフラッグシップ版がいまだ未リリースという状況です。発表当日、Alphabet株は約4%下落しました。研究主導から製品・事業主導へと重心が移る節目で、今後のGeminiのリリースペースを占ううえで押さえておきたい動きです。

 

出典:Reuters・2026/8/5
https://www.reuters.com/business/google-shakes-up-ai-leadership-deepmind-chief-shifts-role-2026-08-05/

 

3. Googleマップ「Ask Maps」が強化、話しかけるだけでフード注文・ホテル予約まで

Gemini搭載の「Ask Maps」が、調べる機能からエージェント機能へと踏み込みました。飲食店のフードオーダーはUber Eats・Square・toastなどと連携し、地図上の会話だけで注文が完結します。ホテルやイベントの検索、Gmailと連携した予約リマインド、バス・電車・フェリーのリアルタイム遅延ウィジェットも追加。日本・メキシコを含む150以上の国と地域が対象です。「検索して、アプリを開いて、予約する」という3ステップが1つの会話にまとまるわけで、AIエージェントが日常の消費行動に入り込んできた実例として見ておきたい一件です。

 

出典:Google公式ブログ
https://blog.google/products-and-platforms/products/maps/order-food-in-ask-maps/