この記事で分からない用語や手順が出てきたら、その部分をそのままコピーしてClaude(AI)に貼って聞いてみてください。かみ砕いた説明や公式ページのリンクまで出してくれます。詰まったらAIに“添付して質問”が、この記事の正しい使い方です。
第1回(会計を締める)で、全部の仕訳データが手元に揃いました。この回は、そのデータを使って申告書を仕上げます。正直に言うと、私はfreee申告を使うのも今回が初めてで、「どの画面で・どこに・何を入れるのか」がまったく分かっていない状態からのスタートでした。だからこそ「AIをどう使ったか」を中心に書きます。やり方はここでも同じで、freeeの画面をスクショして貼るだけ。API連携などの設定は一切していません。
先に結論だけ言うと、AIは「申告書を書いてくれる魔法」ではありません。効くのは、横串の突合・書類の要否判定・抜け漏れチェックという、人間が一番ミスりやすいところの“伴走”です。書くのは自分、間違いを見張るのがAI、という分担が現実的でした。
■ AIをどう使ったか(この回の主役)
① 仕訳データから「税務調整が必要な項目」を洗い出す
最初にやったのが、第1回で作った仕訳データ(固有情報はマスクしたもの)をAIに渡し、「この内容で、会計上の利益から税務上の所得に直すときに調整が必要な項目は何? 国税庁のページを見て洗い出して」と聞くこと。小さい会社だと論点は多くなく、今回は少額の資産を一括で費用にする特例まわりが主、という整理にたどり着けました。「自分の実データ」を起点にするので、一般論ではなく自社に効く論点だけが残るのが利点です。
② 必要な「追加の別表」を特定する
調整項目が決まると、それに対応して追加で作るべき別表が出てきます(たとえば少額資産の特例を使うなら、その専用の別表と、特例を使ったことを示す明細書が必須、というように)。ここも「この調整を使うと、どの別表・明細書が要る?」とAIに逆算させると、抜けなく洗えました。
③ freeeで進める順番のナビ
freee申告に入ったら、各画面のスクリーンショットをコピペして「ここからどう進める? 次はどれ?」とAIに聞きながら進めました。基本は上から順に入れていけばいいのですが、下の方から急に必要になる項目もあり、グレーアウトして触れない欄や、白いまま入れるべきか分からない欄もあります。「この欄は入れる? 飛ばしていい?」も含めて画面ごとに確認したので、初めてのソフトでも迷子になりませんでした。
④ 別表どうしが連動するとき、“どこに入力するか”で迷う
数字が別表をまたいで通貫しているか(いわゆる横串)は、freee申告がある程度自動で整合してくれます。むしろ私が戸惑ったのは「入力する場所」でした。別表は画面上、上から順に並んでいるのに、実際にはもっと下の別表から先に入れないといけない項目があるのです。下で入れると、上の別表の該当セルは自動反映でグレー(入力不可)になったり、逆に下から数字が飛んできて埋まったりする。ソフト上は整合が取れているのですが、入力する側は普通「上から順」に埋めようとするので、特に慣れていない人はここで必ず手が止まります。私も「この欄、なんで入力できないの?」と何度も固まりました。ここも、画面をスクショしてAIに「どの別表から先に入れる? この灰色の欄はどこで入れるやつ?」と聞くと、順番と入力場所を教えてくれて、本当に助かりました。
⑤ 添付書類の要否判定
決算書・勘定科目内訳明細書・事業概況説明書は基本セット。加えて、使った特例があればその専用明細書が必須になります。「この制度を使ったから、この書類が要る」と、使った制度から逆算してAIに判定させました。
⑥ 概況書の抜け漏れチェック
事業概況説明書は手入力欄が多く、ぽろぽろ抜けます。画面をAIに見せて「抜けと選択ミスを全部洗って」と頼むと、直すべき欄・埋める欄・放置でいい欄を仕分けしてくれました。
⑦ 二重計上などの“やりがちミス”の番人
計算した税金を会計に戻す画面で、計上済みなのにもう一度押すと二重計上になりかけたり、内訳書で「買掛金」の様式が未払金まで含む範囲だったり。「今この数字はどこの何か」をAIに確認しながら進めると、地味な事故を防げます。
⑧ そのほか、AIに助けられた具体場面
・売上を年間まとめて1本で入れてしまっていた:記帳のとき、売上をつい年間まとめて計上してしまい、月次の内訳が入っていませんでした。申告書を作りながら「これは月ごとに分かれていないとダメだ」と気づき、AIに「元データから月次ごとに割り直して」と頼んだら、また元のデータをもとにサッと月別へ戻してくれた。手で分け直すと地獄の作業ですが、ここはAIが本当に楽でした。
・「内訳書・概況書」が空に見えて焦った:freeeの独立メニューから開くと「まだありません」と表示され、作り忘れたかと焦る。実際は法人税申告フローの中に同じ書類があった。入口が複数あるソフトは、どの入口の話かを取り違えやすい、という教訓。
【会話例(スクショ貼り付け方式の実際)】
私「(freeeの画面を貼って)この画面、次どこを入れればいい?」
AI「その画面は◯◯の入力です。上から順でOK、ただし△△欄はこの申告では空欄のまま。次は□□へ進んでください」
——このやり取りを画面ごとに繰り返すだけ。特別な連携は不要で、迷ったら貼って聞く、が基本動作です。
【囲みコラム:この回に出てくる税務用語(ざっくり)】
欠損金=税務上の赤字。繰越欠損金=その赤字を将来の黒字と相殺できる仕組み(青色申告なら長く繰り越せる)。少額減価償却資産の特例=一定額未満の資産を買った年に一括で費用にできる中小企業向けの特例。均等割=所得が赤字でも定額でかかる地方税。詳しく知りたい語は、その語をAIに貼れば国税庁ページのリンク付きで説明が返ってきます。
■ AI整理の外に出したもの(実務メモ)
上の①〜⑦に収まらない細かい実務判断(たとえば内訳書に書く「相手先」を誰にするか、といった会社固有の整理)は、AIに相談はしつつ最後は自分で決める領域として、別メモに切り出しました。AIは“洗い出し・突合・要否判定”が抜群に強く、“自社固有の方針決め”は人が握る、という分担です。
■ 次年度以降はもっと楽になる(しかもソフトも問わず)
今回は初年度で、申告書をゼロから作ったので正直それなりに大変でした。でも、一度自分で作り込んだ申告書ができれば、それが来年以降の“型”になります。次回はこの申告書をAIに添付して「これをベースに今年分を作って」と参照させられるので、去年の作りをそのまま踏襲でき、格段に楽になります。しかも一度型ができてしまえば、freee申告のような専用ソフトを必ずしも使わなくても——もっと安い手段でも——進められる。初年度の作り込みは、来年以降の自分への投資だと思ってください。
■ 第2回の教訓
・申告書づくりは「自分の仕訳データ」を起点にAIに税務調整項目を洗わせると速い。
・調整項目から、必要な追加別表を逆算して特定する。
・freeeの順番はスクショで都度AIに聞く(グレー欄・白欄の判断も含めて)。
・別表は連動する。数字の通貫(横串)はソフトが整合してくれるが、“入力する順番・場所”に注意(下の別表が先、灰色の欄は自動反映)。迷ったらスクショでAIに聞く。添付書類は“使った制度から逆算”。
・概況書の手入力欄は抜けやすい。画面をAIに見せて穴を洗う。
・AIは洗い出し・突合・要否判定の番人。自社固有の方針決めは人が握る。
・初年度に作り込んだ申告書は“型”になる。次回はそれをAIに添付して参照させれば、ソフトを問わず・格段に楽に作れる。
