日本の会計士協会のAI研修はほぼ皆無なので、大きく出遅れてますね~
<ニュース概要>
シンガポール勅許会計士協会(ISCA)は、シンガポール工科大学(SIT)との共同研究において、保証業務・財務会計・管理会計の3領域における重要業務の60〜100%がAIによる増強が可能であるという結論を発表した。これを受けISCAは政府機関IMDAと連携し、100万シンガポールドルを投じたAI Fluency Programmeを立ち上げ、国内12万人の会計士全員に無料でAI研修を提供する。プログラムは「Learn AI」「Govern AI」「Apply AI」の3フェーズで構成され、修了者にはCPE単位とISCAデジタルバッジが付与される。AIによる代替ではなく「人間の判断力とAIの組み合わせ」を前提とした人間中心型AI(HCAI)アプローチが採られている。
<AI時代への考察>
「60〜100%がAI増強可能」という数字は、管理業務の大部分がルーティン処理に占められているという現実の反映でもある。重要なのは「AIが仕事を奪う」という議論ではなく、残った20〜40%の判断業務をいかに高付加価値化するかという問いに、会計士・管理部門のプロフェッショナルがシフトできるかどうかだ。シンガポールはその答えを「国策として先に実装する」という行動で示している。
<管理部の視点から>
ISCAのAI Fluency Programmeが「Learn AI→Govern AI→Apply AI」の3フェーズを採用している点は、管理部門のAI導入順序として参考になる。まず理解、次にルール整備、最後に実務適用という流れは、コンプライアンス意識が高い管理部門にとって受け入れやすい設計だ。特に「Govern AI」フェーズ、すなわちAI利用規程や説明責任の体制整備を飛ばして「Apply AI」に突入する企業が国内には多く、内部統制・ガバナンスの視点からリスクになりうる点を見落とさないよう注意が必要だ。(※内部監査・法務・情シスに特に関係)
<出典>
出典①:ISCA公式ホワイトペーパー「Artificial Intelligence for the Accountancy Industry – What Lies Ahead」(2024年5月)
https://isca.org.sg/resource-library/digitalisation/artificial-intelligence-for-the-accountancy-industry—what-lies-ahead
出典②:ISCA公式プレスリリース「AI Fluency Programme」
https://isca.org.sg/content-item?id=372ef303-e135-4a4a-94e0-e1e157b9aed4
出典③:International Accounting Bulletin(2025年11月)
https://www.internationalaccountingbulletin.com/news/isca-cai-skills-training-for-singaporean-accountants/
出典④:IMDA公式「National AI Impact Programme」(2026年3月)
https://www.imda.gov.sg/resources/press-releases-factsheets-and-speeches/factsheets/2026/national-ai-impact-programme
