感想: BSフジでの再放送を鑑賞。評価は3.5。 正直なところ、ストーリーの展開そのものに派手な面白さはなく、傑作と呼ぶには至らない。 しかし、犯人が最初に明かされているにも関わらず、「どうやってそこ(逮捕)へ辿り着くのか」というプロセスが気になり、結局最後まで見入ってしまった。
今回、特に心に残ったのは、犯人である「閣下」の背景だ。 彼はエリート街道を歩んできたわけではなく、叩き上げの必死の努力でその地位を築いた。しかし、その過程で手を染めた不正(近道)が、最終的に彼の全てを崩壊させる。 どれほど努力を重ねても、不正の上に成り立つ成功は脆い。 逆に言えば、**「誠実に積み上げること」**こそが、遠回りのようでいて最も強固な基盤になる。この当たり前だが重要な示唆を、改めて突きつけられた気がした。
AI時代への扉:「答え」から始まる逆算の思考
このドラマの「倒叙ミステリー(最初に答え=犯人が提示される)」という構造は、これからのAI活用における重要なメタファーだと感じた。
従来の仕事は「答え」を探す旅だった。しかしAI時代、我々はプロンプト一つで瞬時に「答え(仮の結論や成果物)」を手にすることができる。 これからの人間に求められるのは、AIが出した「答え」と「現実」の間を論理と検証で埋めていく作業ではないだろうか。まさに古畑任三郎が、犯行という既成事実からトリックを解き明かしていくように。
ただし、忘れてはならないのが本作の教訓だ。 AIを使って答えを出すこと(結果への近道)は容易になったが、そのプロセスにおける「誠実な積み上げ」や「検証」を怠れば、それは閣下の不正と同じく、いつか崩れ去る砂上の楼閣となる。 答えを先に出せる時代だからこそ、その空白を埋める「人間の誠実な仕事」の価値が問われている。
