AI利活用のおける初学者の方々とお話しをする際に、いわゆる「広義」の学習を指すことが多く、学術的・技術的には学習とは言わない部分も含むことが多いため、少し整理してみました。お手すきの際にご覧ください。AIが「学習する」と聞くと、なんとなく「賢くなる」イメージがありますが、実はその中身には2つの意味があります。「狭義の学習」と「広義の学習」で、人間で例えると、「ちゃんと覚える」か「その場しのぎで答える」かの違い。なるほど、と思っていただける内容かと思っています。ちなみに学術的・技術的には「狭義の学習」がいわゆる学習です。
AIの学習は、「モデルの重みを更新する」か「外部情報やプロンプトで動きを変える」かで性質が大きく異なります。
狭義の学習:モデルが本当に“覚える”プロセス
こちらは、いわばAIの脳そのものを書き換えるような学習。
再訓練・ファインチューニング・転移学習などが該当します。
特徴:
計算コスト大(データ、時間、GPU)
精度や専門性は高くなる
一度書き換えると戻せない(リスクもある)
例:特定業界の専門用語を理解させたいときなどに有効です。
広義の学習:“覚えてないけど、それっぽく答える”賢さ
こちらはAIの中身は変えず、外から補うスタイル。
few-shot、RAG(検索ベース)、メモリ機構などが代表的です。
特徴:
計算コストは小さくて済む
柔軟で、すぐに使える
情報のアップデートも簡単(データ側を変えるだけ)
例:FAQ応答や日々変わる業務マニュアルへの対応などにぴったり。
ビジネス的視点・応用可能性
・まずは広義で始めるのが現実的。RAGやプロンプト設計で、早く・安く試してみる。その後、必要なら狭義の学習に進むのが王道です。
・社内検索・営業支援・チャットボットなど、現場にAIを導入する際も、広義の学習は導入コストを抑えながら十分な成果を期待できます。