感想: WOWOWでの鑑賞。モンスター・バースシリーズの流れで観たが、率直に言えば「もったいない映画」という印象だ。評価は3.5。

 

 

冒頭のコング地底探索には、未知の世界を覗き見るワクワク感があった。以前『スター・ウォーズ』のレビューで銀河の未知なる世界への高揚感に触れたが、地底世界にも同様の魅力はあった。しかしそれが延々と続くと、見ている側の集中力が切れてくる。そこへ人間パートが入ってきたとき、私はむしろホッとした。映画という体験に入っていくために、人間の視点が必要だったのだ。

 

 

本作で一番もったいないと感じたのは、結末から逆算した構成になっていないことだ。どこに向かっているのかが見えない時間が長すぎる。名作には冒頭で「この映画は観る価値がある」と確信させる力がある。この映画にはそれがなかった。

 

 

ラスボスのスカーキングも物足りない。キングギドラやメカゴジラが持っていた「敵としての格」がない。そして「ゴジラ×コング」という題名が作る”バトル映画”への期待と、地底探索メインの中身とのギャップ。この3つが重なって、冒頭5分の時点で「最高でも3.5だな」と天井が見えてしまった。WOWOWでなければ途中で止めていたかもしれない。映画館以外では、最初の5分で引き込まれなければ視聴をやめる判断をしてもいい。自分の感度をもっと信じるべきだ。

 

 

AI時代への逆襲:「名作は冒頭5分で決まる」という人間のセンサー

 

 

本作を観て改めて実感したのは、「名作は冒頭5分で決まる」という人間の直感の正確さだ。以前の『国宝』レビューで「時間をかけたものへの信仰」に触れたが、時間をかけた作品は冒頭にも時間と緊張感が凝縮されている。本作にはそれがなかった。

 

 

AIはデータ分析によって「ヒットする映画の構成要素」を割り出せるだろう。しかし、冒頭5分で「これは3.5が天井だ」と感じ取る人間のセンサーは、データでは再現できない。『プラダを着た悪魔』で触れた「なんだか」という言語化できない直感と同じだ。

 

 

エンタメが溢れ、AIが大量のコンテンツを生成する時代だからこそ、自分の感度を信じることの価値は上がる。冒頭5分で引き込まれなければ離脱する。その判断を下せるのは、最適化ではなく、人間の身体が蓄積してきた鑑賞経験そのものだ。