感想:
断筆を宣言した90歳の頑固な作家と、それを口説き落とそうとする時代遅れの亭主関白な元編集長。
一見すると昭和的な「ど根性」に見えるこの構図だが、AI時代に突入しようとする今だからこそ、強烈な示唆を含んでいるように感じた。
アマゾンプライムで見たため、やはり映画館鑑賞の没入感がなく、4.5には到達しなかった。数年後に再度ぜひ見たい一作である。
AI時代への逆襲:「非効率」という名の精神力
本作で描かれる元編集長の姿は、効率化とは真逆にある。 断られても、断られても、足を運び続ける。 AIであれば「拒否」のパラメータを受け取った時点で最適解(撤退や別案)を出すだろう。しかし、人間は違う。 「頼みにいき続ける」という非合理なプロセス、その姿勢そのものが、頑なな他人の心を動かすのだ。
これは、以前『国宝』のレビューで触れた「時間を引き受けた事実」に通じる。 AIには「何度も足を運ぶ」という身体性もなければ、そこで費やされる時間への痛みもない。だからこそ、そこに人間固有の価値が宿る。
この映画は教えてくれる。 どんなにテクノロジーが進化しても、人の心を動かすのは、泥臭い「探索」と、相手に向き合い続ける「精神力」なのだと。
AIには決して真似できない「人間だけの仕事」のヒントが、ここにある。
