exaBaseのエージェント群の経理業務アドバイザーですが、会計士の私の目線でも良い回答をしているなぁと思いました。
特に2の業界特有ポイントはそうだなぁと感心しました。おそらく業界ごとにプロンプトかRAGで正しい情報を返せるようにかなり整備されているのではと思います。
また3の監査法人が重視するポイントもその通りだと思いました。項目が10まであるので少し冗長ですが、いい感じに回答してくれています。今後も色々聞いてみて使用感を今後共有いたしますね。
以下私が経理業務アドバイザーを使用した例:
<プロンプト>
【必須】企業の業種: 医薬品業
【必須】会社規模: 上場直前期
【必須】経理業務について知りたいこと:監査法人に耐えうる収益認識ペーパーの作成方法は?
(任意)その他の考慮事項: (帳簿の種類、適用会計基準、税務面の留意点など)
おそらく業種は以下東証の分類でないかなと思われます。
https://www2.jpx.co.jp/tseHpFront/JJK010010Action.do;jsessionid=00BC8DC7BB98409531F7CA3B4A747B7E1
<回答>
# 監査法人に耐えうる収益認識ペーパーの作成方法
## 1. 収益認識ペーパーの基本構成
上場直前期の医薬品業における収益認識ペーパーは、以下の構成で作成することを推奨します。
**必須記載項目**
– **エグゼクティブサマリー**: 結論を1-2ページで明示
– **事業概要**: 医薬品の種類(先発/後発/バイオ医薬品等)、販売形態
– **収益認識の会計方針**: 適用基準(IFRS15/ASC606/収益認識会計基準)
– **契約パターン別の分析**: 5ステップアプローチの適用
– **重要な判断事項**: 変動対価、返品権、リベート等
– **システム対応状況**: 収益認識の記録・管理体制
– **内部統制**: 収益認識プロセスのモニタリング体制
—
## 2. 医薬品業特有の検討ポイント
**2-1. 契約パターンの識別**
医薬品業では以下のような契約形態が混在します:
| 契約タイプ | 収益認識時点 | 主な検討事項 |
|———–|————|————|
| **卸売販売** | 引渡時点 | 返品権、リベート、値引き |
| **病院直販** | 引渡時点 | 長期契約、数量割引 |
| **ライセンス契約** | 一時点 or 一定期間 | マイルストン、ロイヤリティ |
| **委託製造** | 製造完了時 | 検収条件、品質保証 |
| **臨床試験受託** | 進捗度 | 進行基準、中止リスク |
### **2-2. 変動対価の見積り**
医薬品業で特に重要な変動対価要素:
– **返品権**: 過去の返品実績に基づく見積り(最頻値法 or 期待値法)
– **リベート・割戻し**: 数量・金額ベースのインセンティブ
– **価格調整**: 薬価改定、ジェネリック参入による価格下落
– **ペナルティ条項**: 納期遅延、品質不適合
**見積り精度の担保**:
– 過去3-5年のデータ分析
– 四半期ごとの見直しプロセス
– 感度分析の実施
—
## 3. 監査法人が重視するポイント
**3-1. 5ステップアプローチの文書化**
各ステップで以下を明確に記載:
**Step 1: 契約の識別**
– 契約書の保管体制
– 口頭契約の有無と取扱い
– 契約変更時の処理フロー
**Step 2: 履行義務の識別**
– 単一 vs 複数の履行義務の判定基準
– 独立販売価格の算定方法
– セット販売時の配分方法
**例**: 医薬品 + 付帯サービス(保管・配送)の場合
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独立販売価格の配分:
– 医薬品: 市場価格 ¥1,000
– 保管サービス: 原価+マージン ¥100
→ 配分比率 91:9
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**Step 3: 取引価格の算定**
– リスト価格と実効価格の差異分析
– 変動対価の見積方法(最頻値法/期待値法の選択根拠)
– 重要な金融要素の有無
#### **Step 4: 履行義務への配分**
– 配分方法の合理性
– 値引き・リベートの配分ロジック
#### **Step 5: 収益の認識**
– 一時点 vs 一定期間の判定
– 支配の移転時点の特定(検収 vs 出荷 vs 引渡)
### **3-2. 判断の根拠を明確化**
監査法人が必ず質問する事項:
✓ **なぜその会計処理を選択したのか?**
– 代替案との比較検討
– 業界慣行との整合性
– 過去の処理からの変更点
✓ **見積りの合理性はどう担保するのか?**
– 統計的手法の適用
– 経営者の判断プロセス
– 見積りと実績の差異分析
✓ **内部統制は有効に機能しているか?**
– 3線ディフェンス(営業・経理・内部監査)
– システムコントロール
– 四半期レビュー体制
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## 4. 実務的な作成ステップ
### **ステップ1: 契約パターンの洗い出し(1-2週間)**
1. 全契約書のレビュー
2. 重要性の高い契約をTop10でリスト化
3. 各パターンのフローチャート作成
### **ステップ2: 会計処理の論点整理(2-3週間)**
1. 各パターンについて5ステップを適用
2. 判断が必要な事項を明確化
3. CFO・監査役との協議
### **ステップ3: ドラフト作成(2-3週間)**
1. テンプレートに沿って記載
2. 数値例・仕訳例を添付
3. 根拠資料(契約書、計算書等)を整理
### **ステップ4: 監査法人との事前協議(1-2週間)**
1. ドラフトを提出
2. 質問事項への回答
3. 修正・追記
### **ステップ5: 最終化(1週間)**
1. 取締役会承認
2. システム対応状況の確認
3. 内部統制文書への反映
**所要期間の目安**: **7-11週間**
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## 5. 必須添付資料
監査法人が必ず要求する資料:
**定量資料**
– [ ] 収益の内訳分析(契約タイプ別、製品別、顧客別)
– [ ] 変動対価の見積計算書(過去実績との比較)
– [ ] 感度分析表(前提変更時の影響額)
– [ ] 契約負債・契約資産の残高明細
**定性資料**
– [ ] 主要契約書(Top10)
– [ ] 販売規約・取引基本契約書
– [ ] 価格決定プロセスのフロー図
– [ ] 業務記述書(収益認識プロセス)
– [ ] 内部統制評価シート
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6. よくある指摘事項と対策
**指摘事項1: 変動対価の見積りが甘い**
**対策**:
– 保守的な前提を採用(返品率は過去最大値を参照)
– 「制約の要件」(大幅な戻入れが生じない可能性が高い)を充足することを明示
**指摘事項2: 契約変更時の処理が不明確**
**対策**:
– 契約変更承認フローを文書化
– 既存契約の修正 vs 新規契約の判定基準を明記
**指摘事項3: システム対応が不十分**
**対策**:
– 販売管理システムでの収益認識機能の実装状況を説明
– 手作業による調整がある場合は、統制手続きを明記
—
## 7. チェックリスト
最終提出前に以下を確認:
✅ **網羅性**: すべての収益源を網羅しているか?
✅ **整合性**: 他の開示書類(有価証券報告書等)と矛盾がないか?
✅ **明瞭性**: 第三者が読んで理解できる記載になっているか?
✅ **根拠**: 判断の根拠が明確に記載されているか?
✅ **更新性**: 継続的に見直すプロセスが構築されているか?
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## 8. 推奨テンプレート構成
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【収益認識に関する会計方針(案)】
1. エグゼクティブサマリー
2. 会社概要・事業内容
3. 適用会計基準
4. 収益認識の基本方針
5. 契約パターン別の会計処理
5-1. 医薬品卸売販売
5-2. 病院直販
5-3. ライセンス契約
(以下、該当するパターンを列挙)
6. 重要な判断事項
6-1. 変動対価の見積方法
6-2. 履行義務の識別
6-3. 収益認識時点の判定
7. システム対応状況
8. 内部統制
9. 開示方針
10. 添付資料リスト
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## 9. まとめ
上場直前期の収益認識ペーパーは、**監査法人との円滑なコミュニケーションツール**です。以下の3点を心がけてください:
1. **透明性**: 判断プロセスをすべて開示
2. **保守性**: 楽観的な見積りは避ける
3. **継続性**: 一度作成して終わりではなく、四半期ごとに見直す
早期に監査法人とドラフトを共有し、**複数回の協議を経て精度を高める**ことが成功の鍵です。
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